あわれみの讃歌

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 この「あわれみの賛歌」ついて、真言会の市瀬英昭神父様は、ご自身の論文(〈ミサの初め-開祭の意義について〉南山短大研究紀要33)の中で興味深い指摘をなさっています。それによりますと、太陽神信仰を持つローマ帝国では、登り来る太陽に向かって「あわれみたまえ」と唱える習慣があったようです。また、キリスト者迫害で悪名高い皇帝ネロやドミティアヌスは自らの事を「神」だと言っていました。そのような中にあって、この「主よ(Kyrie)」という呼びかけは、復活のキリストに対する呼びかけであり、太陽神崇拝や皇帝崇拝の拒否、つまりはキリスト者としての信仰宣言そのものであったのです。

【外山 愛】