あわれみの讃歌

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 あわれみの賛歌は5世紀にゲラジウス教皇(在位492-496)によって東方教会から持ち込まれたもので、持ち込まれた当初は18の願いからなる連願でした。連願とは、先唱者が一連の嘆願を一つずつ唱える毎に、会衆が同一の反復句で答える形式の祈願を指します。現在の典礼では「諸聖人の連願」を想像して頂けると分かりやすいかも知れません。グレゴリウス一世(在位 590-604)の頃には、嘆願の部分が省略されて、「主よ、あわれみたまえ」の部分だけが唱えられるようになりました。今でも東方教会のクリゾストモ典礼では、奉神礼(ミサ)の冒頭に「大連祷」と呼ばれる連願があり、あわれみの賛歌の原型を残しています。輔祭(助祭)によっていくつかの願いがなされるのですが、願い一つ毎に「主、憐れめよ」と会衆と聖歌隊が応える、共同祈願のような性質を持っているのです。

【外山 愛】